いちばん星の独占権
興味が湧いた────というと、語弊があるかもしれないけれど、そういうこと。
心に引っかかった。
自分以外の人間ではりっちゃんのことばかりだった頭のなかに、なぜか、彼女────ほのかちゃんはすとんとあっさり居座った。
何なんだろうな、ほのかちゃんのあの感じ。
壁がないというか、ガードがゆるくて、一歩間違えばかなり危うい感じなんだけど、でも、それが。
『なるちかくん、だまって、寝て、休んで!』
『あの、一気飲みは、あんまりよくないよ』
あの、じっと目をまっすぐ見つめて話す感じとか。
俺の言動を丸ごと受けとめて、素直に反応する感じとか。
大げさじゃなく、ほのかちゃんといると、背伸びするためにつけていた仮面がべりべりと剥がれ落ちて “三上成哉” になれた。
『ほのかちゃん、……ここにいて』
弱っていたから、気が緩んだのだと、あのときはそう思った。
けれど、今思えば、いくら弱っていたからって、誰にだってあんな風に甘えたことを言うわけじゃない。