いちばん星の独占権



『なるちかくん、また来たの?』




ほのかちゃんと出逢って、しばらくして。

りっちゃんが仕事でうちの高校に配属されたことを知った。



週に1回、水曜日。
りっちゃんが保健室に来ることを知った。





『来ちゃった』




水曜日、昼休み。


欠かさず保健室を訪れるようになったのは、そこにりっちゃんがいたからだ。

りっちゃんと同じ場所で、同じ時間を共有すれば────なんて甘い期待を抱かなかったといえば、嘘になる。




でも、それは保健室を訪れる理由の、たった半分で。


もう半分は……。





『なるちかくん、保健室は休憩所じゃないよ』

『はは、知ってるよ』

『知ってるなら、来ないでほしい……』




仮病を使って保健室に通う俺を、いつだってほのかちゃんは困った顔をして出迎えてくれた。




怒ったようにむすっと頬をふくらませたかと思えば、それでも追い出されることはなくて、最終的には利用カードにサインをしてくれる。






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