いちばん星の独占権




はっきりと、それを思い知ったのは今日だ。




星祭り、つい思いつきで誘ってしまったけれど、誘ってよかった、と思った。

……佐野たちも着いてくることになったのは、ちょっと想定外だったけれど。




やっぱり、ほのかちゃんといると楽しいんだよな。

つい頬が緩むというか、普通に、浮かれてた。




────それで。





『だ、だめ! 見ちゃダメ、ぜったい!』

『え、なんで』

『なんでもだから、だめ……!』




突然、ほのかちゃんがなにか隠そうと挙動不審になった。


不思議に思いつつも、深くは追求せずにいたけど。





『だめったらだめなの! ラムネならわたしが買ってくるから、なるちかくんはじっとしてて、そこから一歩も動かないで、顔も上げないでっ』





さすがにおかしくない?



一方的に言うだけ言って、ほのかちゃんは屋台の方へとぱたぱた駆けていく。

その遠ざかる後ろ姿を引き留めようと思ったけれど、間に合わなかった。




なんか様子変だったし、この人混みの中女の子ひとりはマズいし、……つか、財布忘れてるし。




何してんのほのかちゃん、と心のなかでツッコミつつ、早々に後を追うことを決める。





『ちょっとほのかちゃん捕まえてくる』






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