いちばん星の独占権
「へーき、これくらい大丈夫」
「だめっ、だよ」
本気で平気だったのに、ほのかちゃんはむ、と頬をふくらませる。
なんだその顔、かわいいな。
ハムスターみたいで思わず頬をつまみたくなって、さすがにそれはマズいだろ、と我慢する。
「すり傷を甘く見ちゃだめなんだからねっ? 傷口から雑菌が入ったりしたら、感染症になっちゃうことだってあるんだから。ずっと前、りんくんも傷が膿んじゃって────っ、ふえ?」
さっきちゃんと我慢したのに、水の泡。
ふに、とほのかちゃんの頬をつまんでしまう。
あたりまえだけど、ほのかちゃんはきょとんとしている。
……だって、なんか、今はほのかちゃんの口から佐野の話を聞く気分にはなれなかった。
「あ、ごめん」
ぱ、と手を離す。
つか、ほっぺ、やわらか……。
なんて、不埒にそんなことを考えている間も、ほのかちゃんは理解が追いついていないようで、きょときょとしていた。
そして、急に。
ぶわっとリンゴみたく顔を真っ赤にさせたかと思えば、気合いを入れ直すかのように、ぺちっと両手で頬を叩いて。
え、今の、なに?