いちばん星の独占権
「これでさっきよりは、痛くないと思う」
見れば、赤くなっていたところに、きれいに絆創膏を貼ってくれている。
よれたシワひとつなくて、こういうところなんだよな、とまた思う。
「ありがと」
「これくらい、ふつうだよ」
ほのかちゃんって、やっぱり “ほのか” って名前がいちばんしっくりくる。似合ってる。
ふわっと柔らかくて、毛布みたいなその響きが。
優しくあたたかく包み込んでくれる感じが、まさにほのかちゃんそのもの。
ほっとする、居心地がよくて、離れがたい。
なによりも癒される、ずっと見ていたいって思う。
「そうだ、佐野に遮られて、言えてなかったけど」
「……?」
「浴衣、いいね、似合ってる」
「っ、ほんと? これねっ、れーちゃんが選んでくれて、髪も……」
「髪も似合ってるよ」
「ほんとにっ?」
「ほんとだって、信じてよ」
「なるちかくんはウソツキだから疑っちゃうのは仕方ないです」
眉が8の字に下がっている。
ああ、もう、ほんとに。
「めちゃくちゃ、かわいい」
へらり、笑う。
目の前に鏡を掲げられたら、とろけきった自分の笑顔にドン引きしたこと間違いなし。
ほのかちゃんが照れたようにはにかんで、その表情に。
────好きだ、と思った。