いちばん星の独占権



「あわわ、もうそんな時間なのっ?」



りっちゃんが慌てた様子でガサゴソ書類を整理し始める。

対するわたしはすやすや眠っているなるちかくんの体を揺すった。




「なるちかくん、起きて」

「んー……」


「もー、起きてってば、昼休み終わっちゃうよ?」

「んん、もうちょっと……」


「だぁめ、なるちかくん────っ!?」




ゆさゆさ肩をつかんで揺すっていたら。
急にがばっと体を起こしたなるちかくん、が。




「ちょっ、寝ぼけてるの……っ?」




するりと腕をわたしの首に回した、すがるみたいに。

きゅんとしてしまうから悔しくて、甘苦しい。



寝ぼけてるだけだと思うけど、ぎゅうう、と力が強まって、悔しいかな、またドキリとする。




────1秒後、りっちゃん先生と間違えてるのかもしれない、と思いあたって、急に心がしぼんでいく。




こんなの、ジェットコースターとおなじだよ。





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