いちばん星の独占権



「もう……っ、なるちかくん、てば!」



りっちゃん先生も見ているのに。

かんちがいされて、困るのはなるちかくんの方でしょ?

べりっとなるちかくんを引き剥がすと。



「え」



ぱち、とあっさりなるちかくんの瞼が持ち上がった。

眠たそうな様子はどこにもなくて、思わず目を疑う。




「おはよ、ほのかちゃん」

「……おは、よう?」

「はは」




からかうような笑い声。

寝起きにしてはやけにしゃっきりした話し方と表情。


もしかして、さっきまでのって……。

寝たふり、だったりして。




「じゃあ、私は先においとまするわねっ」




荷物をまとめ終えたりっちゃん先生が、せかせかと足早に保健室を去っていく。



そういえば、お昼休みのあとは、たんまり溜まっていた仕事が……って、ぼやいていたような。



社会人って、たいへんだ。





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