いちばん星の独占権
「ほのかちゃん、帰らないの?」
ちらり、時計を見上げて、なるちかくん。
「あ、わ! ほんとだ急がないとっ」
予鈴で保健室を出て、ぎりぎりチャイムが鳴る前に席につくことができる、教室はそういう位置にある。
りんくんとれーちゃんに、遅刻しないようけしかける立場としては、授業に遅れるわけにはいかないもん。
すちゃっと立ち上がって、保健室を出る。
うしろからなるちかくんの足音も聞こえてきて────そのとき。
「……っ、う」
ズキン、と下腹部に鈍い痛みが襲ってきて、足をとめてしまう。
ズキンというか、もっとこう……ズドン、っていうか。
座っているときは少し痛みがおさまっていたから、大丈夫かも、と思っていたけれど、やっぱりだめ……かも。
立っているのもままならないくらいで、その場に、ふらふらと膝をついてうずくまってしまう。