いちばん星の独占権



目と鼻の先になるちかくん。

なるちかくんの柔らかい髪の毛先がわたしの頬をかすめるキョリ。



ちかすぎる……っ。




保健室のベッドなんて、もちろんシングル、おひとりさま用。

その狭いベッドの上でふたり、毛布のなか。



ようやく状況を理解すると、バクン、と一気に心拍数が上がった。



心臓が過労死しちゃう。

そしたら、わたしも、死んじゃう……っ。




「……!」




わたしの肩の両わきになるちかくんが腕をついていること、それから、わたしの両足のあいだに、挟むようにさしこまれているのがなるちかくんの片足だということ。


気づいたとたん、もう、わたしの頭はまっしろ。



ぱちんと全部はじけて、キャパーオーバーでパンクした。

気絶しなかったのが不思議なくらい。




「ほのかちゃん、大丈夫? 潰してない?」





ひそめて掠れた声さえも、こそばゆくて、だめ。


ぜんぜんだいじょばない……と、崩壊した日本語で、思う。





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