いちばん星の独占権
迷った末、無視を決めこむことにした。
わたしが眠っていたら、なるちかくん、どうするんだろうってちょっと気になったのもある。
どうもこうもないか、わたしが大人しく眠れば、なるちかくんはもうここに用もないんだし……。
なんて。
「あっさり寝落ちるなんて、無防備すぎなんだよな。……ほのかちゃんらしいけど」
「……」
「────こっちの気も知らずに」
え。
ぴくり、と思わず体が反応してしまう。
今、なんて……。
わたしの動揺には気づかなかったらしい、なるちかくんの手のひらが、そっとうなじにふれて、そのまま髪を柔らかく梳いていく。
まるで、恋人にするような仕草。
そんなはずは、ないってわかっていても────。
まるでわたしの心のなかの願いを読みとったかのように、なるちかくんの気配が、近くなる。
目を閉じていて、見えないけれど、たぶんその距離わずか数センチ。
吐息さえもためらう近距離。
「……油断してたら、襲うぞばーか」
その小さな囁きが聞き取れたか、聞き取れなかったか。
ふに、となにかが優しく唇にふれた。
ゆび、じゃない。
指よりもっと、柔らかくて、あたたかい────唇……?
どくっ、と突如、不整脈。
頭のなかに濁流のように疑問符が流れ落ちてくる。
────わたし、いま。
なるちかくんに、キス……された……?