いちばん星の独占権
◇
「────のか、ほのか」
「っ、ぁ、りんくん?」
「俺の話、聞いてんのかよ」
「……ごめん、聞いてなかった……」
正直に答えると、りんくんがチッと舌打ちひとつ。
それから、はあ、と大げさにため息をついた。
それを見ると、さすがにむくむく罪悪感が湧いてきて。
「ごめんね」
「別に。つか、ぼーっとすんのはいいけど、ちゃんと掴まってろよ、振り落とされんぞ」
「わかってるよー」
りんくんの制服のシャツを握る手に力をこめる。
きゅ、とシャツに皺がよって。
「あの、制服、シワになっちゃうかも……」
「いちいち気にすんな」
「ええ、でも」
「どーせすぐ汚れるんだからいい」
また近いうちに、誰かとケンカするということだろうか。
それは、やめてほしいけれど……。
止めたところで仕方のないことだというのは、長年の経験から、もうわかっている。