いちばん星の独占権






「────のか、ほのか」

「っ、ぁ、りんくん?」


「俺の話、聞いてんのかよ」

「……ごめん、聞いてなかった……」




正直に答えると、りんくんがチッと舌打ちひとつ。

それから、はあ、と大げさにため息をついた。



それを見ると、さすがにむくむく罪悪感が湧いてきて。




「ごめんね」


「別に。つか、ぼーっとすんのはいいけど、ちゃんと掴まってろよ、振り落とされんぞ」

「わかってるよー」




りんくんの制服のシャツを握る手に力をこめる。

きゅ、とシャツに皺がよって。




「あの、制服、シワになっちゃうかも……」

「いちいち気にすんな」


「ええ、でも」

「どーせすぐ汚れるんだからいい」




また近いうちに、誰かとケンカするということだろうか。

それは、やめてほしいけれど……。



止めたところで仕方のないことだというのは、長年の経験から、もうわかっている。





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