いちばん星の独占権


「そういえば、なるちかくん、今日は金曜日なんだけど……」

「うん?」


「あの、だから、待っててもりっちゃん先生は来ないよ?」


「はは、それ、昨日も言ってたな」





だって昨日も木曜日。

────つまり、“水曜日” じゃない。




最近のなるちかくんはおかしい。

おかしい、というか、圧倒的に増えたのだ。
保健室をおとずれる回数が。




なるちかくんが保健室に来るのは、水曜日。

1週間に1回きり。


────それは、りっちゃん先生がここにいるから、なのに。




りっちゃん先生がいない保健室になんて、意味はないはずなのに、なるちかくんはここ最近、毎日のように現れるの。





「来たら、だめ?」


「だめっていうか────いや、だめなんだった、だめですっ」




危うく仮病をゆるしてしまうところだった。




ぶんぶん首を横にふるわたしに、可笑しそうに肩を揺らしながら、なるちかくんはカチャン、と書類をホッチキスでとめた。





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