いちばん星の独占権
ここにいるあいだ、なるちかくんはわたしの保健委員の仕事を手伝ってくれている。
そんなことしなくていいよ、って言ってみたこともあるけれど、断っても断ってもそれとなく手助けしてくれるから、最近は頼ってしまっていたり。
もはや、なるちかくんは準保健委員だ。
保健委員はユーレイ委員ばかりだから、正直に言うと、とても助かっていて、そういう意味では、なるちかくんが毎日ここに来てくれることにはなんの不都合もなくて。
……というのは保健委員としての枢木ほのかの意見。
恋する乙女としての枢木ほのかは、毎日昼休みを一緒に過ごせるのは、純粋にうれしくて。
そして、なるちかくんを応援する立場の枢木ほのかとしては、ただただ困ってしまう。
だって、水曜日じゃなかったら、待てど暮らせど、りっちゃん先生は顔を出すことすらないのに。
「そんな気になる?」
「え……っ?」
「俺が保健室に通いつめる理由」
「……!」
もしかして、全部、顔に出てしまっていただろうか。
ぺたぺたと手のひらで頬にふれると。
「ふは、さっきからすげー百面相してるから」
「……!? 忘れて、見なかったことにして……っ」
は、恥ずかしい。
手のひらで顔を覆うと、くはっとなるちかくんが笑う。
ほんとうに、なるちかくんは、よく笑うな。