いちばん星の独占権



カチャン、カチャン、とホッチキスの音が響く。


わたしがプリントの端をそろえて、なるちかくんが右上をホッチキス留めするという流れ作業。




今つくっているのは、保健だよりの────ではなく、保健とはぜんぜん関係ない保護者たちに配布する連絡。



雑用オブ雑用で、どうしてこれが保健委員にまわってきたのかも、謎だ。



保健委員とは名ばかりで、都合のいい雑用係だよ、これじゃあ。



プリントの山を、ひとつ、崩し終えたところで。




「ちょっと休憩する?」

「ひゃ……っ」




とつぜん頬につめたいなにかがふれて。
おののいて、見れば。

なんだ、缶ジュースかぁ……。




「ん」

「え、いいの?」




受けとると、なるちかくんは満足気に口角を上げた。


それにしても、ジュースなんて、いつの間に。
しかも、しっかり冷えている。




「ホットケーキ、味?」





改めてラベルを確認すると、それは未知の飲み物だった。


え、ホットケーキ味……?






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