いちばん星の独占権


「癒され……?」

「ほっとするし、落ちつく」



それは、褒め言葉なのか、微妙なところ。

少なくとも、わたしは、ちょっともやもやしてしまって。



なるちかくんは、いつも、わたしのこと、ほっとするとか落ちつくとか、そういうことばかり言うけれど────。




「どきどきは、してくれないの?」

「は」




つい。


つい、思っていたことがぽろっと口からこぼれてしまった。


あっと気づいたときには、目の前にぴしりと硬直したなるちかくん。

わ、わたし、今なにを……!



かあっと熱がせりあがってくる。

いつものわたしなら、言えるはずもないくらい大胆なセリフ。


今さら羞恥でうるうる涙目になって。




「あ、ああのっ、今のは言葉のあやで────っ」




息を呑む。

なるちかくんが、ぷつっと、なにかを境に男の子の目つきに変わって。





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