いちばん星の独占権
◇
なるちかくんが去っていった保健室、取り残されたわたしはひとりきり。
「……っ」
今のは、なんだったの。
落ちつかないままに、なるちかくんがくれたホットケーキ味のジュースに口をつけていたら、いつのまにか空になっていた。
ふー、と息をついて、ふと机の上に視線をやって、気づく。
あれ、このプリント、って。
さっきなるちかくんが持って行ってくれたはずの────。
「わ、どうしよう」
なるちかくんが持って行ってくれた束のなかにあるはずの、プリントが十数枚ほど置きざりになっていた。
慌てて出ていってしまったから、忘れちゃったんだと思う。
時計をちらりと確認すると、昼休みが終わるまでにはまだ時間がある。職員室まで行っても、十分間に合うはず。
それなら……。
よし、追いかけよう。