いちばん星の独占権


「なるちかくんは雑用、好きなの?」

「最近はけっこう好き」

「ええ、物好きだ」



びっくりしてなるちかくんを二度見する。
と、距離がちかくて、またびっくりした。


慌てて距離をとろうとすると、なるちかくんは逆にぐっと詰め寄ってきて、肩がとん、とあたる。




「もうっ」

「だってほのかちゃんが逃げようとするから」


「逃げちゃだめなんですか」

「だめ」




即答。
心がぎゅっとして、舞い上がる。



パーソナルスペースはもともと狭いなるちかくんだけれど、やっぱり最近は格別に狭い気がする。

油断したらかんたんにふれてしまいそうな距離。




無意識なのかな。

わざとだったら、いいのに……とか。






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