いちばん星の独占権


「三つ編み……、変?」

「え、なんで」

「だって、ずっと見てるから」




そんなにまじまじ見ないでほしい。




「や、かわいーな、って思って見てた」


「……っ、もう、なるちかくん、ほんとやだ!」


「は、なんでだよ。いいじゃん、三つ編み、似合ってる」




お砂糖吐きのなるちかくんである。

そんな砂糖菓子のような顔して、笑わないでほしい。




「……ほどけたら、困るので、離してほしいっ」




うそ、ほんとは心臓が壊れちゃうので。




「そう言われるとほどきたくなんね」

「うう意地悪」


「うそ冗談」




結局、なるちかくんは手を離してくれない。

左側の三つ編みの束がなるちかくんに掴まれていて、まるでリードみたい、お散歩中のペットのごとく、離れられなくなってしまった。




「三つ編みって難しそー」

「ええ、そんなことないよ」




もっと凝った髪型の女の子、いっぱいいる。


わたしは手先が器用じゃないから、ああいうのは……できない。

情けない女子力不足。





< 258 / 315 >

この作品をシェア

pagetop