いちばん星の独占権


「ほのかちゃん、テストどうだった?」

「うげ……」

「うげ、って」



とつぜんふられた話題。

期末テスト、今日がじつは最終日だった。



「せっかく忘れてたのに、掘り返すのはどうかと思うよっ」

「はは、ごめん」



その顔は、たいしてごめんって思っていない顔。


あーあ、忘れていたのに。

なるちかくんと話していたらテストのことなんて、すっかり。



「補習には、ならないと、思う、んだけど」



たぶん、赤点は回避できたはず。



「なんだ、ぜんぜんいいじゃん」

「それなるちかくんが言うと、ただの嫌味だからね……っ」




今回も、1位はきっとなるちかくんだ。



貼り出される順位の紙の一番上で、いつも誇らしげに並んでいる “三上成哉 ” 。

ひときわ輝くその四文字を、楽しみにしてしまっているわたしに気づく。




< 260 / 315 >

この作品をシェア

pagetop