いちばん星の独占権



「泣かされたのか、アイツに」

「……っ、ふ」




言葉にできない。

ひたすら首をふるふると横にふった。



りんくんは困ったように目尻を下げて、それから、シャツの裾でわたしの濡れた頬をぐいと拭った。


乱雑な手つきが、優しかった。




「泣きたいだけ泣けよ、いくらでも拭ってやる」




シャツが汚れるのもいとわずに、次から次へとこぼれ落ちていく涙の粒をすくいとる。


だめだ、よくない、と思いつつも甘えてしまう。





「ねえ! 麟太郎もほのかも何して────って、ほのか、どしたの」


「……れー、ちゃん」





保健室に飛びこんできたれーちゃんは、わたしの涙と、それを拭うりんくんの姿に絶句した。

そしてそれは一瞬のことで。





「ほのか、泣いちゃったの」






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