いちばん星の独占権
「……ふ、え」
「……珍しいねえ、ほのかって、私たちと違ってさ、あんまり感情がっつり表に出さないじゃん。泣いてるとこなんて久しぶりに見たよ」
ふ、と口角を上げたれーちゃんが、腕をがばっと広げて。
かと思えば次の瞬間には、わたしはれーちゃんの腕のなかにいた。
ぎゅーっと、ぎゅうーっと、苦しいくらいに抱きしめられる。
「ほのかは、きっと頑張ったんだよねえ。よく頑張った、えらいえらい」
すりすりと頬ずりされる。
濡れているのに、お構いなしだ。
りんくんも、れーちゃんも。
冷静に考えると、ふたりはいつだってわたしに甘い。
甘すぎるんだと思う。
……けれど、その甘さにこうしていつも助けられているのが事実だ。
「ごめん、ね」
「うん?」
「……ごめん、わたし、背中を押しちゃったの、なるちかくんの」
ぽつり、ぽつりと。
つい先ほどこの場所で、起きたばっかりの出来事を語っていく。
面白さもオチもなにもない、わたしの後悔話にふたりはただじっと耳を傾けてくれる。
そして、話し終えると。
「それで、なんで、ごめん?」
「だって、れーちゃんも、りんくんも……わたしのこと励ましてくれたのに、頑張ることすらできなかった」
「それは違うよ。私はほのかが選んだことを肯定するって言ったんじゃん! 今回のことだって、ほのかが選んだことには変わりない」
「俺はそもそも1ミリも応援してねえし」
「麟太郎は黙ってくれる?」