いちばん星の独占権
◇
「ちょっと! それ玲奈のイチゴドーナツなんですけど! 麟太郎はさっきイチゴ食べてたじゃん!」
「あ? うるせえ、食べ放題なんだから取りに行きゃーいいだろ」
「わざわざ取りに行かなくてもいいように、まとめて置いてたんじゃん、てか、麟太郎さっきからイチゴばっかでチョコ食べてないし!」
「つか、俺もー甘いのムリ。ポテチ食いてー、甘いのばっか食えっかよ、お前バカ舌だな」
「暴言しか吐けないなら帰ってくれる? ていうかね、私よりほのかのほうがずーっと甘党なんだからねっ、ほら見て、ほのかずっともごもごしてるじゃんか」
もう何個目かわからないハニードーナツを咀嚼しているうちにれーちゃんとりんくんの口論が激化していた。
あれから数十分後、場所はレインボーモール内のドーナツショップにて。
それにしてもどこにいても、りんくんはりんくんだし、れーちゃんもれーちゃんだ。
「んふふ」
思わず笑い声を上げると。
「あ、今ほのか笑ったね?」
にやり、とれーちゃんのしたり顔。