いちばん星の独占権


「……っ、えと」



言葉に迷ってしまう。

うろたえるわたしに、りんくんはさらに眉をひそめて。




「正直言って、気に食わねえんだよ三上のこと。……んで、今日ので嫌いになった、普通に」


「きら……っ、今日のはなるちかくんのせいじゃなくてっ」

「んなことわかってる。わかってても、無理なもんはムリ」




ぴしゃり、と言いきられてしまった。

でも。




「なるちかくんは、いいひとだよ」

「……」

「どこがいいのかって、聞かれると、どうやって答えればいいのかわからなくなっちゃうけれど────……」




なるちかくんのいいところ、好きなところなんてたくさんある。むしろ、ありすぎる。


ありあまるほどの無数のことを、星の数、なんて言ったりするけれど、ほんとうに星の数ほど、なるちかくんを好きだと思う。


ほんの些細なことから、それをまとめて、ひっくるめて、ぜんぶ。




「……ぜんぶ、好きなの」




ぽつり、呟いた声は思ったより切実だった。





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