いちばん星の独占権
ぜえぜえ、と荒い吐息の音。
そこに混じる、その声は、ここにいるはずのないひとのもの。
振り向くことが、一気にこわくなった。
それでも、わたしは、その声を待っていたような気がする。
「っ、なるちか、くん……!」
なんで、どうして。
疑問符が頭のなかを飛び交って、だけど、唯一無二の金色が視界に入れば、そんなものぜんぶどうでもよくなってしまう。
肩で息をしながら、なるちかくんはわたしの腕を引いた。
汗ばんだ感触、あつい体温。
「お取り込み中悪いけど、ほのかちゃん借りてく」
有無を言わさず。
なるちかくんがわたしを立ち上がらせる。
「なんっ、待っ、なるちかくん……っ」
「話はあとで」
えええ。
目を白黒させつつ、なるちかくんに半ば無理やり連行される。
そんなわたしを。
れーちゃんは菩薩のような顔でひらひらと手を振って、それからりんくんは。
「……三上。泣かせたら殺す、つか、後で一発殴らせろ」
「ちょっ、物騒なこと言わないでよっ」
物騒なことを言ってれーちゃんにたしなめられつつ、仏頂面で見送ってくれた。