いちばん星の独占権
「はは、知ってるよ」
「知ってるなら、来ないでほしい……」
はは、ってまたクリアな笑い声が響いた。
その笑い声につられたのか、クリーム色のカーテンがふわっと揺れる。
クリアなのは、笑い声だけじゃない。
なるちかくんは存在そのものが、鮮烈だ。
あかるくて、どんなものよりも、ひときわキラキラ眩く輝いているように見える。
「来ないで、って、ほのかちゃんに言われるとけっこう悲しいな」
揺れるカーテンのすきまから、木漏れ日のように射しこんだ太陽のひかりが、なるちかくんの髪の毛をやさしく撫でていく。
きらりと反射して、その金色のまばゆさに思わず目を細めた。
もうひとつ、ルール違反。
なるちかくんの、どんな遠くからでも見つけることができる、金色の髪。
染髪禁止なのだから、ぜったい校則違反なのに、どういうわけかなるちかくんは黙認されている。我が校の七不思議と言ってもいい。
「でも、そう言いつつ、ほのかちゃんはなんだかんだ許してくれるんだよね」
う、と言葉につまる。
その通りなのだ。
きっと、先生たちがなるちかくんの金髪をゆるしているのも同じ理屈なのだと思う。
なるちかくんはすごい。
周りの人々を惹きつけて、認めさせて、納得させてしまうものすごい引力をもっているの。これは、わたしのなかの七不思議。