いちばん星の独占権



「へっ?」



なるちかくんの指先が同じ星を指さす。



「それで、俺はこっち」




と、金星のとなりに淡く輝く星を指さして言う。



あの星が、わたし……?

なるちかくんにとっての、いちばん星、が。





「なるちかくん」

「うん?」



「……ありがとう」




星にはひとつひとつ名前があって、星と星を結んで星座になってゆく。


けれど、星座はさいしょから星座だったわけじゃない。



ひとつひとつの星々は、見つけた人が名前をつける。

そして、また誰かが星たちを結びつけて、星座をつくる。



────わたしに名前をつけてくれたのは、なるちかくんだ。




「見つけてくれて、ありがとう」


「はは、それはこっちの台詞なんだわ」





とん、と肩がふれて。
指先がゆっくりと繋がった。





「俺のこと、見つけてくれてありがとう」




END


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