いちばん星の独占権





なるちかくんは、ほんとうに、お星さまのような男の子。

キラキラ輝く恒星、それも、目をこらさなくたって見つけられる紛うことなき一等星。





『うわ、あの男の子、金色だよ』

『初日から校則違反かー、やるねー』

『でも似合ってるよね、カッコいいかも』

『不良だったらやだなあ』




入学式の日から、そのまばゆい金色の髪はだれよりも目立っていた。

きらきらひかるその髪色に度胸あるなあ、とざわめいていた人々は、彼が新入生代表として登壇したことでさらに度肝を抜かれたの。




新入生代表の挨拶は、たったひとり、入試をいちばんの成績で通過した人が任されるもの。



入学式会場である飾り立てられた体育館に、凛とした声が響き渡って、“三上くん” は一躍有名人になったのだ。


わたしも、体育館のすみっこで、「こんな人って現実にいるんだ」って思った記憶がある。





『三上くん、今日の放課後、空いてるっ?』

『三上ー、一緒に飯食おーぜ!』

『三上がいるとなんかその場が明るくなるよな』





またたく間に、誰もがみとめる人気者。

廊下の遠くからでも、すぐに見つけられる金色は、いつだってたくさんの人に囲まれている。




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