いちばん星の独占権
「三上成哉くん、今日はどこが具合悪いんですか」
「頭痛、とかにしとこっか?」
「先週も頭痛、先々週も頭痛だったよ」
たしかその前の週は腹痛と書いた気がする。
保健室を使うためには、症状などを記した利用カードを提出しなければならないの。保健室の先生か、わたし────当番にあたっている保健委員の監督のもとで。
だけど、なるちかくんのカードはいつでも嘘っぱちだ。
「ほら見て、36度3分、平熱」
ピピピッと電子音、いちおうなるちかくんに預けていた体温計を取り上げると、表示されていたのはもちろん平熱だった。
「わかった、今日は、熱中症ってことにしよ」
「熱中症……」
「最近暑いし。熱中症でだるいってことで」
あたりまえのように、ごくごく慣れた様子で、保健室のまんなかのソファにすとんと腰を下ろしたなるちかくん。
地毛なんじゃないかとたまに疑ってしまうほど、いつ見ても根元からキレイに染まった金色の髪を見つめた。ついつい視線が引き寄せられてしまう。
なるちかくんの金髪は、染め上げたものというより、内側から光り輝くような色をしている。
夜空に輝くお星さまみたい。