いちばん星の独占権



だから、放課後は部活のあるりんくんやれーちゃんとはちがって、まっすぐ家に帰ることが多い。



りんくんかれーちゃんの部活が休みのときは、こうして一緒に帰ろうって誘ってくれる。

それはすごく嬉しいのだけれど……。





「ごめん、今日は放課後、委員の仕事があって」





先週提出した保健だよりの原稿。

先生からのオーケーが出たから、今度は配布に向けてコピーしなければいけないの。



印刷するところまで、委員の仕事だ。





「……あっそ」

「だから、りんくんは先帰ってて?」


「や、俺は────」

「せっかくのオフなんだし、ゆっくり休んでね」




授業は不真面目なりんくんだけど、昔から剣道は一生懸命頑張っていることを知っている。

休みの日くらいは、早く帰ってゆっくりしてほしい。




「あー……はいはい、わかった」

「……?」




りんくんの返事が妙に歯切れ悪い。

どうしたんだろう……気のせいかな。



不思議に思ったタイミングで。




「佐野ッ! ここか!!」





怒号とともに、物凄い勢いで保健室の扉がひらいた。





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