いちばん星の独占権



「これでよしっ」




完成した、嘘だらけの利用カードをもう一度確認する。

ふむ、と頷くと、なるちかくんも横から覗き込んできた。




「ありがと、ほのかちゃん、助かるー」

「……仕方なく、なんだからね?」

「わかってるよ、助かる」




『助かる』 のひとことやふたことで、ほだされてしまうわたしもわたしなのだけれど。



でも、ほんとうは、《 仮病 》 とくっきりはっきり書いてやろうか、と思うことも多々ある。

だって、仮病だと知りながら保健室の利用を許可しているとバレた日には、叱られるのはわたしなのだ。



そのときには、きっちりなるちかくんに責任をとってもらわなきゃ、困る。




「ねえ、なるちかくん」





なるちかくん、三上成哉くん。
お星さまのような男の子。



────水曜日だけはいつも、欠かさず、保健室を訪れる常連さん。





「どうして、水曜日だけ、ここに来るの?」





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