いちばん星の独占権



なるちかくんが出してくれた助け舟。
あの石岡先生があっさりと信じた。


なるちかくんって、やっぱりすごい。




「んじゃ、他のとこ探しにいくかな。あいつには山ほど書いてもらわないとならない反省文があるんだよ」




そう言い残して、石岡先生は回れ右。

保健室から去っていく。



ほっと胸を撫で下ろす。

ていうか、りんくん、そんなに反省文書かなきゃだなんて、一体何をしたの……。



ジト目を送ると。




「バックレるか」




そう呟いたかと思えば、りんくんは扉とは反対側にある窓を開けて。



「……!?」




何をするのか聞くまでもなく、ぴょんと飛んで窓の外へ。




「えええ……」

「はは、佐野、すごいね」




思わず頭を抱える。



なるちかくんは、りんくんの消えた窓でふわふわ揺れているカーテンを見て、呑気に笑っていた。




ついさっきまで、れーちゃんもりんくんもいて、あんなににぎやかだったのに。


あっという間になるちかくんとふたり、取り残されてしまった。






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