いちばん星の独占権


「あの、なるちかくん」

「んー?」

「なんか、ごめんね……」




れーちゃんの分に、りんくんの分、それからわたしの分も。

3人分まとめて謝っておく。


やたらと騒がしくしてごめんなさい、だ。




「はは、いいじゃん、楽しくて」

「そう見える?」


「うん、あの感じだと、そーとー仲良いんだろ。つか、俺そもそも仮病だし、気にしなくていいし」

「そうだった、仮病」




ていうか、なるちかくんもどうなのって話だ。
今日も今日とて、120パーセント健康体、つまり仮病。

それに金髪。



ふつうなら、みっちり反省文コースなのに、石岡先生からも絶大な信頼を得ていたし……なにかと食えないひとだ。




「そーいや、もうすぐ昼休み終わるけど」

「えっ、もう!?」




ぱっと振り返ると時計の針は思ったよりもずっと進んでいた。




「これ、どうする?」




なるちかくんが指したのは机。

さっきまで、れーちゃんとりんくんと使っていたもの。



上にはペンケースやら教科書やらプリントやら……ひっちゃかめっちゃか散らばっている。




うわあ……と思わず眉を寄せた。


このまま放置はさすがにまずい。

そして、そうなったときに怒られるのは、保健委員のわたし……!





「片づけるよ……。りんくんとれーちゃんの荷物は教室まで届けなきゃだもん」






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