いちばん星の独占権
ぺこりと頭を下げて、キャッチしてくれた教科書の束を受け取ろうとしたけれど。
「素直に頼っとけよ」
「……!」
思惑とは逆に。
なるちかくんがさらに、わたしの腕から積み重なった教科書を奪う。
わたしのところに残されたのは、薄いノートが数冊だけ。
「重いのに……っ」
「ほのかちゃんはそうでも、俺は平気なんだって」
重たいはずの荷物を抱えて、なるちかくんは屈託なく笑う。
ナチュラルに優しいんだな。
みんなから人気なのも、先生から絶大な信頼を置かれているのも、こういうところなのかも。
「行かないの?」
一足先に保健室を出たなるちかくんが、わたしを振り返る。
慌てて早足でなるちかくんの背中を追いかけて、横に並んだ。