いちばん星の独占権



全校生徒の分ともなると量がすごい。


といっても、私はコピー機のスイッチをぽちっと押しただけで、あとはぼーっと印刷されていく様子をながめているだけだ。



正直、とてもひまなの。

ひまだから……なるちかくんのことばかり、考えてしまうのかもしれない。




『いいんだよ、ほのかちゃんなら』




どうして、あんなこと言うんだろう。

平気な顔して…………やっぱり、なるちかくんって、人たらし?




と、そんなタイミングであたりが急に静まりかえる。

ガシャガシャと動いていたコピー機の音がぴたりと止んで、印刷が終わったことを知る。




「よーしっ」




ぐーっと伸びをして。

あとは、もう、印刷したこのプリントを各教室に運べば、今日の仕事はおしまい。



ちゃちゃっと終わらせて、帰ろう。
そう思って、プリントの束をがしっと持ち上げる。



それで、つま先を印刷室の扉の方へくるりと向けると。






「────っ、ひうっ!?」





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