いちばん星の独占権
「へー。字、キレイ」
「あ、ありがとう……」
さらっと褒めてくれるから、どきっとしてしまう。
なるちかくんのその褒め言葉に、とくべつな意味なんて少しもないのに────。
「……なるちかくんって、いつから、りっちゃん先生のことが好きなの?」
「……。いつだと思う?」
まさかの質問返し。
からかわれているのかな、って一瞬むくれたけれど。
首を傾げたなるちかくんが、優しい顔をしていて、びっくりした。りっちゃん先生のことになると、こんな顔、するんだ……。
びっくりするくらい、優しくて、儚い瞳。
「ええと……、高一のとき、とか……?」
「残念でしたー、不正解」
「えっ」
それじゃあ……。
「もっと、ずっと前からだったよ」
ふ、と笑う。
その笑顔が溶けてしまいそうなくらい、柔らかくて、またどきりと心臓が跳ねる。
「……いいなあ」