いちばん星の独占権



「わたしには、そういうもの、なにもないから」




悔しかったんだよ。

れーちゃんやりんくんに敵うものは、それくらいだったから。




『ほのかがいると助かるー!』

『俺ら馬鹿だから』

『は? 麟太郎と一緒にしないでくれる?』

『事実』




ふたりの力になれるのは、ふたりがわたしのことを頼ってくれるのは、勉強のことだけなの。……でもそれすら、中途半端なんだもん。


結局、なるちかくんがヒーローみたいに助けてくれちゃうから。





「……何でもいいの、誰でもいいの、“いちばん” になってみたかった。誰かの、ゆるぎない “いちばん” に」




誰かの “いちばん” になりたかった、なにも手にしていないわたし。


なんでも手にしているように見えるけれど、何よりも欲しかった “いちばん” には届かなかったなるちかくん。



悩みごとの種類は、よく見ればぜんぜん違うのかもしれない。


……けれど。





「だから、ちょっとはわかるよ、なるちかくんの気持ち」





向いている方向は同じだと思ったの。

わたしのそれが “劣等感” なら、なるちかくんのだって、ある意味 “劣等感” でしょ……?


似てないけど、似ている。





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