いちばん星の独占権
「いつもひとりで帰ってる?」
「うん。あ、でも、れーちゃんかりんくんの部活がお休みのときは一緒に帰ったりも……」
「ふーん」
会話、終了。
なるちかくんって、やっぱりよくわからないな。
みんなに囲まれて、にこにこしているときは、明るくてよく喋る男の子って感じだし、だけど今はそんな感じでもないし。
わからない、けれど。
「あのねっ、なるちかくん!」
「……?」
「もしも、なるちかくんがりっちゃん先生への恋を終わらせちゃっても、いつか忘れちゃっても、わたしがちゃんと覚えておく。なるちかくんの分まで、覚えておく、なかったことになんてしないっ!」
なるちかくんが、みるみるうちに目を見開いた。
こいつ急に何を言い出すんだ、って思ってるのかな。
────でも。
なんでかな、ひとつも見逃したくないって思ってしまった。
思っていたよりもずっと、いろんな表情を見せるなるちかくんの、そのひとつひとつの表情を、わたしだけは見逃したくないって。
……なんでそう思うんだろう。
なるちかくんは、不思議だ。
話すつもりもなかった、わたしの本音をするする引き出してしまうし、なるちかくんのことをどうしたって目で追ってしまう。
何を考えてるのかな、って考えたり。
こんなの、なるちかくんに対してだけ。