いちばん星の独占権
「なかったことになんて、ぜったい、しない」
「なんでそこまで……」
「だって、なるちかくんの、大切な気持ちだから」
なるちかくんにとって、“りっちゃん先生への恋心” はきっと、とても大切に育ててきたもの。
ずっと、ひとりで、ひそかに抱えてきたもの。
それを、泡のようにぱちんと消してしまうなんて、もったいない。
なるちかくんが終わらせると言うのなら、わたしがちゃんと覚えておきたいの。
終わらせた方がなるちかくんが楽になれるのならそれでいいと思うけれど、代わりにわたしが────。
大真面目になるちかくんの瞳をまっすぐに見つめていると、とつぜん 「くはっ」となるちかくんの笑い声。
見れば、なるちかくんは肩をふるふると震わせていた。
「わ、わら……」
笑ってる!
ひとがこんなにも真剣に話したというのに……!
信じられない、やっぱり、なるちかくんなんて────と唇をとがらせる、と。
「はー、笑った。ほのかちゃんってなんでそんなかわ────」
目元に涙まで滲ませながら、そう言って。
とつぜんハッと言葉をとめたなるちかくん。
「なるちかくん?」
「……いや、面白いなーって」
「わ、わたしがっ?」
「ほのかちゃん以外に誰がいるんだよ」