いちばん星の独占権





「それで、ほのかちゃんは何をそんなに悩んでるのかな〜」

「うう、りっちゃん先生……」




べたり、と机に突っ伏せる。


翌週、水曜日、お昼休み。
保健室にはわたしとりっちゃん先生のふたりきり。




ちなみに、常連のなるちかくんは今日はまだ来ていない。

昼休みがはじまって、まだ少ししか経ってないし……。





「あの、悩んでるってわかるんですか……?」

「そりゃあもう。なんてったって心理カウンセラーですからねっ、プロですからっ」




えっへん、とりっちゃん先生が胸を張る。



うーん、やっぱりひとの機敏に敏いひとだ。

そんなにわかりやすく表情とか、態度に出したつもりはないのに。



じっさい、れーちゃんやりんくんには少しも、そんなこと見抜かれなかった。





「悩んでるっていうか、そわそわって感じだねえ」

「うっ」




まさにその通りなの。
観念して、がばっと顔を上げる。


助けを乞うようにりっちゃん先生を見つめて。






「……あのっ。ほかに好きな人がいる男の子と、ふたりで出かけるのって、どういうことなのかな……って」





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