いちばん星の独占権



「ウソツキとかはじめて言われた」

「なるちかくんは、ずーっとウソツキのくせに」




仮病ばっかり。

少なくとも、保健室にいるなるちかくんは、嘘で塗り固められていると思う。




「そんなこと言うの、ほのかちゃんだけ」

「そうかな」

「そうだよ」




なるちかくんがくすくす笑う。
それにつられて、ソファが小刻みに揺れた。



「ウソツキかー」なんて呟きながら、なるちかくんは机に置いた利用カードを持ちあげて、じっと見つめる。しばらくそうしていたかと思えば。




「そーだ」

「……?」

「ほのかちゃん、“熱中症” って言ってみて」




とん、とわたしの書いた 《 熱中症 》 の字を指さして言う。





「え……? 熱中症……?」





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