いちばん星の独占権
ちょっとした呼び方のひとつひとつに、わたしの知らない、りっちゃん先生となるちかくんの重ねてきた時間が透けてみえて、なぜか灰色のもやもやが心のなかをうずまく。
……これは、あんまりいい感情じゃないな。
ちょっとうつむいたとき、保健室の扉からひょっこり頭がのぞく。
「ほのかちゃん」
「……っ、なるちかくん」
さっきまでりっちゃん先生と話していたなるちかくん。
そう思うと、どうしてか上手く目を合わせられない。
だからって目を逸らしても、なるちかくんの金髪のキラキラが視界の端に入ってくるのだから、厄介だ。これじゃあ逃げられない。
「なるちかくんは、今日も仮病ですか」
「はは、うん」
「はあ……、なるちかくんって、何気にりんくんと並ぶくらい問題児だよね」
ちょっと嫌味っぽく言ってみる。
そしたら、なるちかくんの腕がすっとこっちに伸びてきて。
保健室の利用カードになるちかくんの名前を書き込んでいた、右手首をきゅっと捕まえられる。
「……っ?」
「ほのかちゃん、今日、なんか、変?」
「え」