炎のボレロ
小さな結晶
「美咲、オレは財産も何もいらない。
おまえがいたら、それで十分だ。
いつまでも、一緒にいような」
邦雄といる時より真人といるほうが、
美咲には安らげる。
財産はいらないと言い切れる
真人に美咲は安心していた。
ところが、そんな幸せも
つかの間で壊れてしまった。
それは、同じ別荘に
邦雄と麻子がいたからだ。
初めは、泥棒が入ったのかと思った
真人があかりがついている
別の寝室を開けてみた。
すると、どうだろう。
寝室で邦雄と麻子が体を重ねていたのだ。
突然の出来事に驚いた美咲は、
「あなた、北海道に
行ってたんじゃなかったんですか?」
と聞いていた。
邦雄も驚いて、
「友達と旅行に
行ったんじゃなかったのか?」
と美咲に聞いていた。
「お互いに浮気旅行になったな」
と真人は笑って言った。
「これは、いったいどういうことだ?
美咲、どうして真人と一緒にいるんだ?」
美咲は、黙って言葉が出ない。
その代わりに真人が邦雄に言った。
「オレと義姉さんとは、
普通の関係じゃないよ。
つまり、こういうこと」
そう言って、邦雄の目の前で
真人は美咲にキスをしていた。
その光景に邦雄と麻子は驚いた。
弟が不倫関係を持っていたことを…。
「真人、おまえ気でも狂ったのか!」
「なんとでも言えよ!
オレはな、高校の時から
美咲が好きだったんだよ!
兄貴の嫁さんになってからも
ずっと好きだった。
だから、オレたちは愛し合った。
お互いを求めあって、
つかの間でもセックスを重ねたよ。
兄貴が姉貴とセックスを重ねるようにな」
「なんだと?おまえは、美咲を
オレの妻だと知って奪ったのか?
それなら、許さんぞ!」
「許してくれなんて思っていないよ。
自分のことを棚に上げておいて
よく人のことを否定できるよな」
このままだと邦雄と真人が、
自分のためにけんかをしてしまう。
それだけは、避けたかった。
「お願い、二人ともやめて」
美咲は、自分のせいで二人に
けんかをしてほしくなかった。
その気持ちを察したのか、
麻子が美咲に言った。
「あなたも二人の男を
手玉に取るなんて大胆ね。
貞淑な妻が、実は悪女だったなんて
スキャンダラスなこと」
「お義姉さん、止めてください。
このままだとけんかになってしまいます」
「ほっときなさいよ、自業自得よ」
そう言って、麻子は高笑いをしていた。
そして、美咲は
洗面所に駆け込んでいった。
それを見た麻子は、
「あの子、妊娠したみたいね」
と言った。
「オレは、子供がつくれない。
ということは真人、おまえ…」
「おそらくオレの子だよ」
「真人、カエルの子はカエルね。
あなたのお母様にお父様を奪われて、
あたしたちのお母様は、
その心労で亡くなったのよ。
あなたのお母様が、
あたしたちのお母様にしたように
あなたも兄の妻を奪った。
それも妊娠させてね」
邦雄は、怒りから真人を殴った。
殴るだけじゃ怒りがおさまらない。
弟に妻を奪われた揚げ句に
自分では持たせたられない
子供を身ごもらせたことが許せなかった。
そんななかで、美咲が
洗面所から戻ってきた。
「美咲」
「どうしたの?その傷、何があったの?」
「大丈夫だよ、兄貴に鉄拳をくらった。
それより、おまえは大丈夫か?」
「大丈夫よ」
「おまえ、妊娠したんじゃないのか?
隠さずに言ってくれ。
昨日今日の関係じゃないんだから」
「真人さん、黙っていてごめんなさい。
実は、月に来るものが来ていないから、
奈津子の知り合いの産婦人科に行ったの。
今、妊娠3カ月と言われたわ」
「そうか、わかった。
話してくれてありがとう」
この後、美咲は真人の子供を産めるのか?
邦雄と真人、二人の男性の間に
揺れ動いている美咲は、
子供を産んで母親に
なっていくのだろうか?
憎しみあう二人の男性のはざまで
美咲の心は激しく揺れ動いていた。
おまえがいたら、それで十分だ。
いつまでも、一緒にいような」
邦雄といる時より真人といるほうが、
美咲には安らげる。
財産はいらないと言い切れる
真人に美咲は安心していた。
ところが、そんな幸せも
つかの間で壊れてしまった。
それは、同じ別荘に
邦雄と麻子がいたからだ。
初めは、泥棒が入ったのかと思った
真人があかりがついている
別の寝室を開けてみた。
すると、どうだろう。
寝室で邦雄と麻子が体を重ねていたのだ。
突然の出来事に驚いた美咲は、
「あなた、北海道に
行ってたんじゃなかったんですか?」
と聞いていた。
邦雄も驚いて、
「友達と旅行に
行ったんじゃなかったのか?」
と美咲に聞いていた。
「お互いに浮気旅行になったな」
と真人は笑って言った。
「これは、いったいどういうことだ?
美咲、どうして真人と一緒にいるんだ?」
美咲は、黙って言葉が出ない。
その代わりに真人が邦雄に言った。
「オレと義姉さんとは、
普通の関係じゃないよ。
つまり、こういうこと」
そう言って、邦雄の目の前で
真人は美咲にキスをしていた。
その光景に邦雄と麻子は驚いた。
弟が不倫関係を持っていたことを…。
「真人、おまえ気でも狂ったのか!」
「なんとでも言えよ!
オレはな、高校の時から
美咲が好きだったんだよ!
兄貴の嫁さんになってからも
ずっと好きだった。
だから、オレたちは愛し合った。
お互いを求めあって、
つかの間でもセックスを重ねたよ。
兄貴が姉貴とセックスを重ねるようにな」
「なんだと?おまえは、美咲を
オレの妻だと知って奪ったのか?
それなら、許さんぞ!」
「許してくれなんて思っていないよ。
自分のことを棚に上げておいて
よく人のことを否定できるよな」
このままだと邦雄と真人が、
自分のためにけんかをしてしまう。
それだけは、避けたかった。
「お願い、二人ともやめて」
美咲は、自分のせいで二人に
けんかをしてほしくなかった。
その気持ちを察したのか、
麻子が美咲に言った。
「あなたも二人の男を
手玉に取るなんて大胆ね。
貞淑な妻が、実は悪女だったなんて
スキャンダラスなこと」
「お義姉さん、止めてください。
このままだとけんかになってしまいます」
「ほっときなさいよ、自業自得よ」
そう言って、麻子は高笑いをしていた。
そして、美咲は
洗面所に駆け込んでいった。
それを見た麻子は、
「あの子、妊娠したみたいね」
と言った。
「オレは、子供がつくれない。
ということは真人、おまえ…」
「おそらくオレの子だよ」
「真人、カエルの子はカエルね。
あなたのお母様にお父様を奪われて、
あたしたちのお母様は、
その心労で亡くなったのよ。
あなたのお母様が、
あたしたちのお母様にしたように
あなたも兄の妻を奪った。
それも妊娠させてね」
邦雄は、怒りから真人を殴った。
殴るだけじゃ怒りがおさまらない。
弟に妻を奪われた揚げ句に
自分では持たせたられない
子供を身ごもらせたことが許せなかった。
そんななかで、美咲が
洗面所から戻ってきた。
「美咲」
「どうしたの?その傷、何があったの?」
「大丈夫だよ、兄貴に鉄拳をくらった。
それより、おまえは大丈夫か?」
「大丈夫よ」
「おまえ、妊娠したんじゃないのか?
隠さずに言ってくれ。
昨日今日の関係じゃないんだから」
「真人さん、黙っていてごめんなさい。
実は、月に来るものが来ていないから、
奈津子の知り合いの産婦人科に行ったの。
今、妊娠3カ月と言われたわ」
「そうか、わかった。
話してくれてありがとう」
この後、美咲は真人の子供を産めるのか?
邦雄と真人、二人の男性の間に
揺れ動いている美咲は、
子供を産んで母親に
なっていくのだろうか?
憎しみあう二人の男性のはざまで
美咲の心は激しく揺れ動いていた。