炎のボレロ
姑の告白
美咲が、子供を流産してから
静子は、ずっと病室で
美咲の看病をしていた。
美咲は、子供を産めなかった悔しさで
涙が止まらなかった。
「美咲さん、もう泣かないで。
赤ちゃんは残念だったけど、
あなたが助かってよかったと
思っているわ」
「お義母さん、許してください。
私は、邦雄さんではなく
真人さんを愛してしまいました。
おなかの子は罪の子です」
「そうやって自分を責めないで。
よけいに苦しくなるだけよ。
私も本妻がいながら、
源蔵と結ばれて真人を産みました。
だけど、後悔はしていません。
だって、好きになった人の子供を
持つことができたんですもの。
真人は、私の宝物。
真人があなたを好きなら、
どんなことでも
守っていくつもりでいますよ」
「お義母さん」
「美咲さん、真人は
気持ちの優しい子です。
高見沢家の人間ではなく、
一人の人間として
あなたを愛したのです。
あなたと幸せになるなら
財産はいらない。
そう言ったでしょう。
真人は、そういう子なのです。
お金持ちでも、
家族がバラバラじゃ寂しい。
お金がなくても、
家族が笑える家庭があれば
幸せだと言っていました。
世間では、真人を愛人の子だと
さげすまれてきましたが、
源蔵は、そんな真人に
愛情をいっぱい注いできました」
「お義母さん、私は
真人さんが好きでした。
だけど、恋人のいる真人さんを
好きになってはいけない。
形は変わっても、
そばにいられるならと
邦雄さんと結婚しました。
だけど、真人さんから
好きだと言われてうれしかった。
真人さんと一緒なら幸せだと思って
関係を持ちました。
お義母さん、
私は真人さんを愛しています」
美咲は、初めて静子に
自分の気持ちを打ち明けていた。
真人を愛していると…。
これでいい。
高見沢家を離れてもいい。
一人に戻って、一からやり直そう。
退院したら、邦雄と離婚しよう。
もう、自分が高見沢家に
縛られることはないのだから。
ただ寂しいのは、真人と別れること。
子供を流産した今、
真人との関係が続くかわからない。
それなら、自分から
別れを切り出して元に戻ろう。
ところが、美咲の気持ちを知ったのか
真人が病室に来ていた。
そして、美咲にこう言った。
「美咲、オレが愛しているのは
おまえだけだ。
子供はいなくなったけど、
おまえの気持ちは変わらない。
だから、オレから離れるな」
「真人さん」
「それから兄貴だけど、
警察病院に送致になったよ。
だから、離婚ができる。
それから、オレたちが一緒になるのも
おやじが許してくれたよ」
「お義父さんが?」
「そうだよ、オレたちは夫婦になれる。
もう隠れて会うことはないんだ」
「真人さん、ありがとう。
うれしい、一人じゃ心細かったの。
邦雄と離婚をして
生きていけるか不安だったの」
「これからは、オレがいる。
二人で幸せになろう」
幸せになれる。
それが、現実ならうれしい。
美咲は、真人の強い言葉に
うれしさを隠しきれなかった。
真人の腕に抱かれて美咲は幸せだった。
静子は、二人の姿に涙を流していた。
二人には幸せになってほしい。
子供の流産で、二人の絆が
強くなったことがうれしかった。
「真人、美咲さんを大切にね」
「もちろんだよ、母さん。
必ず、幸せにしてやるよ」
「美咲さん、真人をお願いね」
「はいっ、お義母さん」
「今度は、何があっても
私がついています。
安心して、真人と一緒に
暮らしてちょうだい」
静子の言葉どおり、美咲は
真人との暮らしを始める決意をした。
子供の流産で、真人との絆が
強まったことに、美咲は真人との
再婚の第一歩を踏み出そうとしていた。
静子は、ずっと病室で
美咲の看病をしていた。
美咲は、子供を産めなかった悔しさで
涙が止まらなかった。
「美咲さん、もう泣かないで。
赤ちゃんは残念だったけど、
あなたが助かってよかったと
思っているわ」
「お義母さん、許してください。
私は、邦雄さんではなく
真人さんを愛してしまいました。
おなかの子は罪の子です」
「そうやって自分を責めないで。
よけいに苦しくなるだけよ。
私も本妻がいながら、
源蔵と結ばれて真人を産みました。
だけど、後悔はしていません。
だって、好きになった人の子供を
持つことができたんですもの。
真人は、私の宝物。
真人があなたを好きなら、
どんなことでも
守っていくつもりでいますよ」
「お義母さん」
「美咲さん、真人は
気持ちの優しい子です。
高見沢家の人間ではなく、
一人の人間として
あなたを愛したのです。
あなたと幸せになるなら
財産はいらない。
そう言ったでしょう。
真人は、そういう子なのです。
お金持ちでも、
家族がバラバラじゃ寂しい。
お金がなくても、
家族が笑える家庭があれば
幸せだと言っていました。
世間では、真人を愛人の子だと
さげすまれてきましたが、
源蔵は、そんな真人に
愛情をいっぱい注いできました」
「お義母さん、私は
真人さんが好きでした。
だけど、恋人のいる真人さんを
好きになってはいけない。
形は変わっても、
そばにいられるならと
邦雄さんと結婚しました。
だけど、真人さんから
好きだと言われてうれしかった。
真人さんと一緒なら幸せだと思って
関係を持ちました。
お義母さん、
私は真人さんを愛しています」
美咲は、初めて静子に
自分の気持ちを打ち明けていた。
真人を愛していると…。
これでいい。
高見沢家を離れてもいい。
一人に戻って、一からやり直そう。
退院したら、邦雄と離婚しよう。
もう、自分が高見沢家に
縛られることはないのだから。
ただ寂しいのは、真人と別れること。
子供を流産した今、
真人との関係が続くかわからない。
それなら、自分から
別れを切り出して元に戻ろう。
ところが、美咲の気持ちを知ったのか
真人が病室に来ていた。
そして、美咲にこう言った。
「美咲、オレが愛しているのは
おまえだけだ。
子供はいなくなったけど、
おまえの気持ちは変わらない。
だから、オレから離れるな」
「真人さん」
「それから兄貴だけど、
警察病院に送致になったよ。
だから、離婚ができる。
それから、オレたちが一緒になるのも
おやじが許してくれたよ」
「お義父さんが?」
「そうだよ、オレたちは夫婦になれる。
もう隠れて会うことはないんだ」
「真人さん、ありがとう。
うれしい、一人じゃ心細かったの。
邦雄と離婚をして
生きていけるか不安だったの」
「これからは、オレがいる。
二人で幸せになろう」
幸せになれる。
それが、現実ならうれしい。
美咲は、真人の強い言葉に
うれしさを隠しきれなかった。
真人の腕に抱かれて美咲は幸せだった。
静子は、二人の姿に涙を流していた。
二人には幸せになってほしい。
子供の流産で、二人の絆が
強くなったことがうれしかった。
「真人、美咲さんを大切にね」
「もちろんだよ、母さん。
必ず、幸せにしてやるよ」
「美咲さん、真人をお願いね」
「はいっ、お義母さん」
「今度は、何があっても
私がついています。
安心して、真人と一緒に
暮らしてちょうだい」
静子の言葉どおり、美咲は
真人との暮らしを始める決意をした。
子供の流産で、真人との絆が
強まったことに、美咲は真人との
再婚の第一歩を踏み出そうとしていた。