一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
そう言って余裕そうに微笑む彼に無償にイライラしてしまい、無言で車から飛び降りた。
そんな私を追いかけるように、運転席から降りてきた彼の優しい声が耳に響いた。
『おやすみなさい、紗江さん。また、明日ですね。』
振り返らずにいると、ドアの閉まる音とエンジンの音がして恐る恐る振り返るとそこに彼の車はなくなっていた。
「あ、、送ってもらったお礼、、言い忘れちゃった、、。」
そんな自己嫌悪に陥ってしまい、トボトボと自分の部屋へと入った。
一旦落ち着こうと、ソファーに座り込んでみるが今だに胸の高鳴りが止まない。
それに何だか全身が熱を持っている。
きっと急なトラブル対処の疲れが今出たんだと思い、お風呂は明日早起きして入る事にした。
でもせめて顔だけでも洗って横になろうとソファーから立ち上り、洗面所に行くとガラス越しの自分の顔が真っ赤になっている事に気付いた。
そんな自分から目を逸らして急いで冷水で顔を洗ってから、布団へとダイブした。
目を閉じるが、イライラして一向に眠れない。
その原因に自ら気付いているからこそ、より一層眠れないのだ。