一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
自分がもし、彼女に見合う男なら2人の間に割って入れるほど自信に満ち溢れた男なら彼女を攫ってしまえるのにと思った。
それからは彼女に見合う男になるべく、今まで以上に勉学に励み教養を身につけ、体も鍛えた。
すると次第に身長も徐々に伸び始めて、縮まる彼女との身長差。
でも縮まらないものがどうしてもあった。
それは年齢の差。
どんなに頑張っても、それだけはどうしようもなく彼女の理想である高身長にはなれても年上にはなれない。
自由を手にすべく海外でさらに自信を身につけ、こうして彼女を攫う覚悟で戻ってきたがこれだけはどうすることも出来ないのだ。
自分の身長が彼女の身長を10センチ以上超えるまでは彼女にこの想いを絶対に告げないと自らの想いを必死に抑え込んできた。
それが逆に仇となってしまったようだ。
スヤスヤと眠る彼女にとって、俺はあくまでも安心して隣で眠れる弟でしかなくて彼女の恋愛対象にも入れて貰えない。
自分が招いたことなのに、それが悔しくて堪らない。
『、、紗江さん、どうしたら俺を男としてみてくれますか?』
眠る彼女にそっと問うが、返事が返ってくることは当然ない。