一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
彼女の着ている上着の内ポケットに手を入れると可愛いマスコットが付いた鍵。
それを鍵穴に回すとガチャリと鍵が開いた。
息を飲んで中へと足を踏み入れると、一度だけ入った事のある学生だった頃の彼女の部屋そのままで女の子らしい可愛い小物や可愛いモノに囲まれた可愛い部屋に少しだけホッとした。
奥の方にベットを見つけて、そこへ彼女を起こさないようにゆっくりと下ろす。
未だにスヤスヤと眠る彼女の額にもう一度手を置くが、熱はないようだ。
『、、良かったです、熱がなくて。ここ最近はトラブルがあったり、仕事の後に実家へと手伝いに行ったりで疲れが溜まっていたんでしょうね。ゆっくり休まれて下さい。』
そう言ってベットから離れようとすると、突然裾を掴まれてしまう。
もしや起きてしまったのかと振り返ってみるが、彼女は眠ったままスーツの裾を握りしめている。
これが普通の男だったら、完全に襲っている所だ。
こういう所は本当に無防備で困る。
盛大なため息をついてから、やんわりとスーツの裾から彼女の指を離した。
そしてゆっくりと近づいてキスを落とす。