一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
episode6
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『おはようございます、紗江さん。』
「おはよう、片瀬くん。最近早いね。もう今から外回り?」
『はい、もう少しで契約が取れそうなので。紗江さんも相変わらず早いご出勤ですね。くれぐれも無理はされないで下さいね。』
「ありがと、片瀬くんもね。じゃあ言ってらっしゃい。」
『行ってまいります。』
会社の出入り口でそんな会話を一言二言交わしてから外回りに向かう彼を見送った。
彼がアパートまで送ってくれた日から1ヶ月が経った。
あの日、結局眠ってしまった私が目覚めたのは次の日の朝でベットはおろか部屋に帰ってきた記憶もない私は軽くパニックを起こした。
服は仕事へ着ていったモノのままで着衣の乱れもない。
ベットの横にはバックがそっと置いてあり、部屋の鍵はしっかりと掛けられている。
普段上着の内ポケットに入れている筈の鍵は何故か玄関に落ちていた。
どうしてこうなったのか全く記憶にない中、慌ててシャワーを浴びて会社へ出社すると同じ時刻に出勤していた彼を発見して彼に事情を伺った。