一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
バリバリのキャリアウーマンである母は、少し体調が悪くても仕事へと出掛けてしまう。
仕事にそれだけ責任を持っていることは凄い事だとは思うが、その所為で無理がたたって年に何度かこうして身動きが取れないほどになってしまうのだ。
「お母さんももういい歳なんだから、少しは仕事もセーブしなきゃだけどね。」
「それが姉貴が居た頃よりも酷いんだよな。なんか定年も延期するみたいだし。俺らが言っても全然聞いてくんねー。やっぱ姉貴じゃないと、、。」
「もー何言ってるの。いつまでも甘えないの!!お父さんは相変わらず単身赴任中で居ないんだし、今やこの家の大黒柱である慎一がしっかり言わなきゃでしょ?」
1番しっかりしているであろう慎一にそう声を掛けるが、苦笑いを浮かべるだけで罰が悪そうに頭を掻いている。
そんな姿を見てしまえば、結婚をした訳じゃないのに家を出たという負い目もあって強くも言えず深い溜息をつく。
「、、お母さんには私からも言ってみるから。取り敢えずここに数日間は仕事終わりに寄るよ。綾ちゃんだって亜美ちゃんの世話と別にあの子達の面倒は無理しちゃうだろうからね。そのかわり慎一もちゃんと綾ちゃんをフォローしてあげなさいね?」
「あぁ、分かってる。本当助かる。」