一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
だから彼の事を全て知りたいと思うことは決して悪い事なんかじゃない。
そんな屁理屈を並べ彼の気持ちを無視して、自分のわがままを正当化しようとしている自分が酷く嫌いだ。
コンシーラーで隈を隠して会社に向かうと会社の入り口で壁に背を付けて立っている彼の姿を見つけた。
目が合うと駆け寄ってくる彼が直ぐに目の下のクマ気づき、そっとそれに触れた。
『紗江さん、、昨日眠れませんでしたか?昨日の帰りもタクシーの中でずっとボンヤリしていたのが気になって。俺が何かしてしまったんじゃないかと気が気じゃなくて、、。』
眉を下げて不安げな表情を見せる彼を見て、彼も私と同じ気持ちなのだと分かった。
好きだからちょっとした事でも不安になって、確かめたくなる。
相手に本当の自分を曝け出すのは正直怖いけど、きっと彼ならば受け止めてくれるのではないかと勇気を振り絞って本音をぶつける。
「、、私ね、暁人くんのご家族の事を何も知らなかったのが凄いショックだったの。付き合い出したばかりだから当然と言えば当然だよね。今まで恋人になった相手のそういう話はそんなに気にならなかった。でも、暁人くんの事になると気になっちゃって、、それで昨日は一睡もできなくて。無理強いするのはダメだって分かってるんだけどっ!それでも知りたくて、、。暁人くんの事、もっと知りたいのっ、、!!」