一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
どんなに頑張っても、それが当たり前のことだかは褒めて貰える事なんてない。
でもだからと言って弱音も吐けない。
きっと綾ちゃんもそんな気持ちなのかもしれない。
大家族の長男の嫁として、そして母親としての若い彼女へのプレッシャーは半端ないだろう。
長女として、もっと様子を見に来れば良かったと後悔さえしてしまう。
亜美ちゃんを抱きながら、そんな罪悪感で一杯になっていると食事を早めに終えた慎一から亜美ちゃんを奪い取られた。
「亜美は俺が抱くから姉貴も食いなよ。それにずっと立ちっぱなしだろ?」
「私は大丈夫よ。それより仕事が忙しいのは分かるけど、もう少し慎一も家事とか子育てとか積極的に参加しなきゃダメよ?綾ちゃん、相当きてるみたい。ちゃんと支えてあげないと。」
「綾はよくやってくれてるよ。本当に感謝してる。ここ数ヶ月、仕事が少し立て込んで大分任せきりになってた、、。気をつける。」
「ん。そういうのちゃんと分かってるならちゃんと言葉にしてあげて?じゃあ、私はお母さんの様子見てくる。あの子達が足りないって騒いだらキッチンにまだあるから食べさせておいてね。」
そう声を掛けて、作っておいたお粥を持ってリビングを後にした。